モデル体験記 (7)


ずぶ濡れでローションの感想を撮り、しばらく休憩になった。ひなさんは今日どこへ行っていたかを楽しそうに話してくれた。ずぶ濡れオフ、か。私も行ってみたくなった。
ローションの分の映像チェック。もちろん映像チェック恒例の?バケツの水をたっぷりと浴びた。
夕飯の時間になり、Dさんがお弁当を買い忘れていたことがわかった。せっかくなので私が手料理を振る舞うことにした。


監督「んまいっ!」

ひなさん「美味しい〜どこで習ったの?」
私「学生時代に居酒屋でバイトしてたんですよ。そのときに覚えたんです。」
Dさん「弁当買い忘れて正解だったかも」
私「ふふふ。ありがとうございます。」

監督「彩夏さん、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
私「なんですか?」
監督「前、アンケートしてもらったとき全項目OKってしてくれたじゃない?」
私「・・・ああ、はい。」
監督「こういう仕事ってあんまり目に付きにくいところにあるじゃない?何で知ったのかなって。それに、汚すのとかってやったことないって仰ってたのになんで引き受けてくださったのかなって。」
私「・・・えーっと、正直、最初はお金のためでした。っていうのは、元々やっぱり、生活費を稼がなきゃっていうのがあったんですけど、脱いだり行為をしたりっていうのは怖いですし、人見知りしやすいから接客とかは無理だったんですね。だからどうしようかと思って、昔ローカル局の深夜番組でパーツモデルとかフェチモデルっていう仕事があるってことを聞いてたのを思い出したんです。昔は結構テレビ見てたんで」
監督「『最初は』って?」
私「いや、何となく『ずぶ濡れって気持ちいい』って気持ちはあったんですけど、まぁ、とりあえずお金のために全部OKしといた方がいいかなって思って。だけど、泥の時あったじゃないですか。あの時に本気で好きになりました」
実際今もずぶ濡れでご飯を食べている。今となっては2日に1回はずぶ濡れになるほどのハマりようだ。
監督「こちら業界は怖くなかったの?」
私「正直いうと、怖かったです。監督の専門がAVっていうのがよけいに。あ、ですけど、監督とメールのやりとりをしたりしていくうちに大丈夫そうかなって思ったんです」
監督は奥さん(つまりひなさん)がいて、最初のうちはその奥さんが一緒に撮影に参加すること、何か不都合あれば直ぐに言って貰ってかまわないということ、撮影では水着絶対着用で下着以下にはしないということなど、契約の際文書にして残してくださったことから、信頼を置いたのだった。
監督「まあ、ね。」
私「ところで次の撮影はなんですか?」
監督「彩夏さん、パイ投げってわかります?」
私「はい。」
監督「次回はそれをひなと一緒にやるんですが、これは専門家のところへ行きます。」
私「専門家?」
監督「パイ投げについてはパイそのものをどのように作るかを私が知らないので、パイ投げ専門に撮っている人にお願いするんです」

帰りは曇っていた。しばらくひなさんと水を浴びせあいながら雨を待ち、雨が降り出したところで自転車で帰った。


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