モデル体験記 (5)


次の撮影日は雨だった。私は傘を差さず自転車で撮影に行った。びしょびしょとはいかない弱い雨だったけど、それでも服はしっとりとしていた。
着く寸前になって少し雨が強くなり、空も一段と黒い雲が覆った。これから強く降り出すのだろう。
ついてすぐ監督はこう言った
「彩夏さん、今日の予定変更。庭に出てて。」
庭に出て行くと、池があった。なにも泳いではいなかったが。
ひなさんが珍しく?乾いた服で来た。庭に立ってすぐに撮影開始。しばらくすると大粒の雨が降り出し、私とひなさんは、というか監督やひろしさん達もだけど、一気にずぶ濡れになっていた。
「じゃあそこに座って」
監督は庭の椅子を指さして言った。私たちはゆっくりと腰を下ろした。たまっていた雨水でぴちゃっとお尻が濡れた。2つのバケツの水がテーブルに用意され、ひなさんにまず浴びるように指示された。ひなさんは座ったままバケツを抱えると、両手に持ちかえ、頭の上に運びそのままくるんと逆さまにした。弾ける音とともに大量の水がひなさんをつつみ、流れ落ちていった。
続いて私も同じように浴びた。これでもう二人ともびっちょびちょだ。
続いて椅子から立ち上がり、監督とDさんが椅子を池に沈めた。
「じゃあ、座って。」
監督は指示した。つまり池の中で座るということか。
早速ひなさんと池に入った。冷たい水だ。少しこけで汚れていた。私は私服だったけど、もう構わなかった。そもそも濡れながら自転車で来たんだし。
池で座ると、肩が出た以外は水の中で、相当深かった。ここから、Dさんとひろしさんのバケツとシャワーの叩きつけ攻撃が始まった。息継ぎがとても大変だったが、監督が止めるまでの数分間、何とか耐え抜いた。
「はいそれじゃあ髪をあげずにあがってきてね・・・あっ、」
ひなさんも私もつい髪を整えてしまった。なので一度潜り、そのまま一気にあがった。
しばらく濡れた服から水が滴り落ちたところを撮った後、撮影終了。あとは自由になったので、ひろしさんと池の中に入り、水を掛け合って遊んだ。するとそこにバケツの水が私めがけて降り注いだ。ひなさんだった
「仲良さそうだね。付き合ってるの?」
私とひろしさんは正直に答えた。
「マジー!?うちら夫婦のほかにもずぶ濡れカップルやと〜?」
といってひなさんは私の頭を池に押し込んだ。すぐに手を離し私は顔を上げた。私は少しむせ、椅子を引き上げてひなさんに渡し、池からあがった。雨はすっかり止んでいて、夏の日差しがまぶしかった。監督が言った
「彩夏さん、風呂で撮影するから、そのまま風呂に来て。ひなは終わるまで池に沈んでいなさい。」
ひなさんはホースを渡され、すぐにひなさんは池に飛び込み、潜ってホースを口にくわえた。最初に水を吹き出すと、そこから息をし始めたらしかった。
「ひなさん、大丈夫なんですか?」
監督に聞いた。
「ああ、あれはわざとやってみせてるけど、すぐあがって息継ぎするから大丈夫。」
といって、私を風呂場につれていった。
風呂場にはすでに3台のカメラが用意してあるらしい。シャワーの上に一つ、浴槽の端に固定されて一つ、そして手持ちのカメラだ。
「あの、次の演出は・・・?」
私が聞いた。
「次はね、その手持ちのカメラを持って、自分撮りして。普段入っているように。ただし服は脱がないで。自分撮りだから、自分の今の様子を喋ってね。あと、なるべくサービスショットをよろしく」
・・・・・えっ、
「じゃあ、僕らは出ているから。」
そういうと、カメラをスタートさせて監督さん達は出ていった。私はずぶ濡れのまましばらくきょとんとしてしまったが、とりあえず始めてみることにした。
「えーっと、はい、びしょびしょでーす。池の水、冷たかったです。」
と、私は全身を映した。掛け湯をして、早速湯船につかる。
「あったかーい。ほら、しっかり湯船の中に服のまま入ってますよー。」
また全身をゆっくり映した。
「ちょっと失礼しまーす」
と、私は襟首を右手で掴み、服を引っ張ってお湯を入れた。サービスに谷間を映した。
十分温まったので、立ち上がった。
「おおお〜、びちょびちょで〜す!」と叫び、全身と滴る水を映した。
洗い場に出てカメラを置き、向きを顔に合わせる。桶でお湯を頭から2杯かぶり、カメラに手を振る。シャンプーを取り、少し泡立てて頭を洗う。
「実は服のままでお風呂とか初めてなんだよねー」と言いながら頭をこする。続いて毛先を丁寧に洗い、シャワーを出して頭から浴びた。カメラの方を向き、頭と毛先を丁寧に洗い流す。最後にシャワーのお湯をおけにくんで頭から浴びて、髪は終了。
次は体。といっても服のまま洗うってどういうことなんだろう・・・
「あ、カメラ・・・どうしよ」
とりあえず遠めにおいてみた。
「これで見える?」
(後からチェックしたらしっかり映っていた。よかった。)
「とりあえずこれで行くよ?いい?」
私はナイロンのタオルにボディーソープをいつもより多めに取り、泡立てた。そして左腕から服の上からゴシゴシと泡を塗り付けた。全身泡だらけになったところで、ひとこと
「泡まみれだぁ。ヌルヌルして気持ちいいよ。」
次にシャワーを高いところから雨のように降らせた。私は頭からそれを浴びながらゴシゴシとこすり泡を落とす。
「体洗ってるのに頭から浴びるのって変?」とカメラに向かって言う。「でも普段こうやってるんだけど。」
しばらく頭から浴びるとシャワーを手に取り、泡の落ちていないところに当てる。ヌルヌル感を落とすため、念入りにシャワーを浴びた。いつもより多めにシャワーを浴び、最後にもう一度頭からザッと浴びてシャワーを止めた。
またカメラを持ち、顔を映して
「びちょ濡れー。」と全身を映した。立ち上がって胸をアップで写し、
「まだ小さいかなぁ。」と言い、上着を脱いでTシャツになった。
「どう?これなら結構わかる?」
シャツは透けて下に着ていた水着が見えていた。「ひなちゃんより小さいなぁ」
カメラを置いて濡れた上着を着直し、もう一度湯船につかる。服からゴポゴポと空気が抜け、ジーパンが浮き輪のように湯船に浮いた。
「わぁ、こんな風になるんだぁ・・・」
座りなおしてジーパンの腰部分を少し広げ、空気を抜いて座りなおした。
「気持ちいい〜」
しばらく湯船にひたった。

「私の服のスポンジでどれくらい水かさ減るかな?ちょっと実験〜」
そう言うと、私は湯船に前かがみに潜り、カメラを持っている手の先だけ浸けないようにし、そして素早くあがって洗い場にたった。大量の水が全身から流れ落ちた。
「ぷぅ、びっちょびちょだ〜。」
全身を一往復ゆっくり映し、湯船を映し、また顔に向けて
「めちゃくちゃ減っちゃったね。お湯。」
と言い、最後に桶で頭から一杯お湯をかぶって
「はい、おしまい。」
もう一度全身を映して、監督を呼んだ

「監督ー?終わりましたよー。」
私はなるべく滴る水を落とさないようにひょい、ひょいと庭に出た。監督達はひなさんをちょうど撮り終えたところだった。
「あっ、終わった?じゃあカメラ貸してね。」
監督にカメラを渡すと監督は記録終了を押した。
「お疲れさま。後のこりの時間は映像チェックするから、着替えててもいいですし、そのままでもいいですけど、まぁ休んでてください。」
私は早速更衣室で着替えた。


私はずぶ濡れで映像チェックに参加した。着替えたのになぜと思うかもしれないけど、原因はひなさんだった。

更衣室で着替え終わって部屋から出るとすぐにひなさんがバケツの水を私めがけて叩きつけたのだ。刹那、折角着替えたのに、という思いも浮かんだけど、それよりも「私はここへなにしにきたか」を思い出し、また濡れた気持ちよさもあいまって、結局もう一度ひなさんと庭で水遊びをしてしまった。子供みたいだけど、楽しかった。
監督さんたち3人は目を丸くして、「着替えたんじゃなかったの!?」ときいてきたので、「ずぶ濡れ好きなんでー」なんて言ってひなさんと笑って、しゃがんだひなさんにバケツ一杯の水をお見舞いした。私も同じようにお見舞いされた。どうせ濡れているからと、監督さん、ひろしさん、Dさんからも一杯ずつ水を浴びせてもらった。

先ほどのお風呂WETの様子が画面に映し出された。少し恥ずかしい気もしたが、ひろしさんたちは興奮したような目で見ていたので、よかったのかなーと思っていた。監督に「少しサービスしすぎじゃない?」と驚かれた。
ひとシーンが終わるともう一度4人から水を浴びせてもらう。ひなさんにも私と監督達から水を浴びせる。もうビッチョビチョだ。

泥のシーンが映し出される。あのさらさらとした泥の気持ちよさが忘れられなくて、ひろしさんにもう一度連れてってもらうことになった。ひなさんも行くかときいたら、「デートで行くのに私は邪魔でしょ?」と笑われた。
シーンが終わりまた私とひなさんにバケツ4杯の水。床はもう水溜りだ。私はオマケでもう一杯自分で浴びた。

最初のプールでずぶ濡れのシーンになった。監督は気づかなかったみたいだけど、私の顔は明らかにこわばっていた。今は撮影関係なしにずぶ濡れだというのに、このときはすごい緊張してたなぁ。

映像の確認が終わり、最後に私とひなさんにそれぞれひとり2杯ずつ計8杯バケツの水を浴びせ、映像チェック終了。ずぶ濡れで夕飯を食べて、まだ湿っている昼間濡れた服を上から着て、もう一度池で遊んだ。ひとしきり遊ぶと、ひなさんと一緒にお風呂に入った。その服のまま。

考えてみたら、一日のうち半分以上(起きてる間だけで)は何らかの濡れていた状態だった。これで、私の今日の仕事は終わった。
明日はついにローションを使うらしい。不安と、ワクワクとで、疲れているはずなのになかなか寝付けなかった。


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