モデル体験記 (4)


あの撮影から3日後、ひろしさん・・・飯島さんに食事に誘われた。監督から渡す物があるということだった。

おしゃれなイタリアンのお店に入り、飯島さんの待つ席に座る。

「じゃあ、これが次回使うものだから」
と紙袋を渡された。中にはプラスチック製の瓶が入っているようだった。
「これ・・・は?」
私が聞いた
「大きな声では言えないけど、ローションだよ」
と、飯島さんが小声で言った。
「は、はぁ・・・」
ローション。以前付き合っていた彼氏にそれ物のAVを見せられた気がする。ヌルヌルっとしているやつだ。触ったことはないけど。
「サンプルとして少し触っておいてください、って、監督から。」
「わかりました。」
「それから話は変わるけど」
と、飯島さんは話を切りだした。
「単刀直入に言います。僕と付き合ってください」
「・・・・・・えっ?」
不思議な沈黙
そして

「あ、やっぱ、ダメかな・・・?」
「あ、はい、え、いや、お願いします」
「えっ?」
私は指で丸を作った。恥ずかしくて、でも嬉しくて、精一杯できることだった。
「マジで!?やったぁ!」
飯島さんは周りのお客さんが振り返るほどの大声で喜び、そして、二人で小さくなっていた。

「彩夏さ・・・じゃなかった、えっと、寛子さん、」
「はい、」
「あ、僕のことも下の名前で呼んでください。」
「あ、博史さん、ですね。・・・っていうか、このあいだから呼んでますよね」
「まぁ、ね。」

こうして私たちは付き合うことになった。

博史さんに近くまで送ってもらって家に帰り、早速お風呂場でローションを手に取ってみた。予想通りヌルッとしていた。体に塗ってみて、気持ちよかった。
しまった、撮影は服着てやるんだった、と思いだし、古いTシャツを着て、シャツの裾を引っ張りローションを垂らした。襟首を引っ張り服の中にローションをいれ、体に塗り付けた。気持ちいい。ただ単に濡れているだけのシャツとは少し違った感覚がした。
小さな瓶だったからすぐになくなってしまった。でもシャツはしっかりとローションまみれだった。ヌルヌルとした独特の感触にしばらく陶酔し、洗い流して今回は終わった。

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