アイドルの楽しみ 4


電話の音で目が覚めた。マネージャーからだった。
「いますぐテレビつけろ!」
全く。オフだってのに朝から騒々しい。
テレビをつけると、総理大臣がコメントしていた。いやいや、アイドル事務所の人がアイドルに向かってさすがに政治じゃないだろう。チャンネルを変えて、驚いた。私が大写しだ。ずぶ濡れで。そうだ。あのPVだ。

『衝撃!可憐美少女、びしょぬれデビュー!!』
クサいタイトルだな・・・・って、私が可憐美少女?何を言ってるんだ?、世界の破滅か?
とにかく外に・・なんか、人がいるな。マスごミか。
マネージャーに電話。
「見たか!今君は日本中の注目の的だ!すごいぞ!」
いや、外、出れないんですけど。
「早速だけどバラエティー決まったから打ち合わせに来てよ」
行けるか。
「あ、迎えに行く。待ってろ!」
その前に。
「報道にか!とりあえず笑顔振りまいておけ。」
とりあえず面倒なことになった。注目だぁ?

しばらくするとワゴン車がきた。一番まともな格好で出る。おいおい、有名なタレントの熱愛発覚か離婚じゃないぞ。フラッシュまぶしー☆
自宅前の異様な光景に笑い出しそうなのをこらえながらワゴン車に乗り込む。
「いよぅ!人気者!」
いよう。お調子者。
「すげえな。お前。いやぁ、努力した甲斐があったよな!」
私なにかしましたか?

その日とその2日後のトーク番組は滞りなくつまらない仕事をした。
次に出たバラエティは楽しかった。次はそのことを書く。
カラオケで80点以上出せば賞金、それ以下ならプールに落下。そんな企画。
前にも書いたけど、私は歌は下手だ。カラオケで50点すらいったことない。
案の定スタジオ内を異常な空気にさせながら歌い、ワンコーラス目であっさりプールに落下。可憐美少女、びしょぬれデビュー。
言ってやったよ。せっかくだし
「この姿でデビューしたんで!」
そんなわけで、私はびしょ濡れ専属アイドルとして、活躍の幅を・・・って、専属??
まぁ、楽しいことには変わりないけどね。実際普通の人よりずぶ濡れになる回数多いし。そういう意味では専属かも。
すぐ次の日にはクイズ番組とバラエティがくまれていて、スケジュールが真っ黒に染まっていった。

まぁ、もって4ヶ月だろう。そういう甘い考えでスケジュールをこなしていた。



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